葬儀は突然訪れることが多く、手続きや準備に戸惑いがちです。本記事では臨終から納棺、通夜・葬儀、告別式、火葬、初七日法要、さらに香典返しや役所手続きまでを時系列で丁寧に解説します。家族葬と一般葬の違いや実務的な注意点も分かりやすくまとめました。まずは最初の手順から確認しましょう。
葬儀前の準備と臨終~納棺までの流れ
ご家族が亡くなった後は、悲しみの中でもさまざまな準備を進める必要があります。ここでは、臨終から納棺までの流れを順を追ってわかりやすく解説します。ご遺族が慌てずに進められるよう、ポイントごとに整理しました。ご臨終時の対応
ご家族が亡くなられたら、まず行うのは臨終時の対応です。病院で亡くなった場合は、医師から死亡診断書を受け取ります。自宅療養中の場合は、かかりつけの医師に連絡し、同じく死亡診断書を受け取りましょう。その後、近親者や親しい方に連絡して、状況を伝えます。臨終の知らせはできるだけ早めに行うことが大切です。
葬儀社の手配
臨終後は、速やかに葬儀社へ連絡します。葬儀社は、遺体の搬送から通夜・葬儀の準備まで幅広くサポートしてくれます。事前に葬儀社を決めておくと、突然の事態でも落ち着いて対応できます。葬儀社に依頼できる主な業務は、遺体の安置、湯かん、納棺、祭壇や棺の準備、宗教者の手配、斎場や火葬場の予約、料理や返礼品の手配などです。チェックリストを作りながら依頼すると、準備漏れを防げます。
親族への連絡
葬儀社を手配したら、次に親族への連絡を行います。家族葬の場合は、誰を呼ぶかを事前に決めることが大切です。遺族のみで行う場合や親族・親しい友人まで呼ぶ場合など、人数によって対応が変わります。トラブルを避けるためにも、まず家族で参列者について相談し、連絡範囲を明確にしましょう。
湯かん・納棺の手順
葬儀前の最後の大切な準備が、湯かんと納棺です。湯かんは故人の体を清め、髭そりや化粧、着替えなどを行う儀式です。生前の姿に近づけることで、最後のお別れがしやすくなります。その後、納棺を行い、故人の愛用品や旅立ちの際に一緒にもたせたいものを棺に納めます。ただし、燃えにくいものや金属製品、スプレー缶などは入れられません。
葬儀社と相談しながら準備すると安心です。
通夜・葬儀・告別式の1日目・2日目のタイムスケジュール
葬儀は多くの場合、2日間に分けて行われます。1日目は通夜、2日目は葬儀・告別式・火葬です。家族葬と一般葬では参列者の人数や規模は異なりますが、基本的な流れはほとんど同じです。ここでは、1日目と2日目のスケジュールを解説します。1日目:通夜の流れ
通夜は、故人を偲ぶための式で、夕方に始まり1~2時間程度で終わるのが一般的です。まず、家族は17時ごろに納棺を行い、故人を棺に納めます。このとき、故人の体を清め、化粧や着替えを整え、副葬品を入れます。納棺が終わると、通夜式の準備が整います。通夜の式では、僧侶による読経の後、遺族・親族・参列者が順番に焼香を行います。式の終了後には、簡単なお茶や食事を用意する「通夜振る舞い」が行われます。家族葬では参列者が少ないため、通夜を省略する場合もありますが、希望に応じて行うことが可能です。
2日目:葬儀・告別式・火葬の流れ
2日目は葬儀・告別式と火葬が行われます。式の開始は午前10時ごろが一般的で、参列者は1時間前に集合し、受付や着席を済ませます。葬儀では僧侶の読経に続き、焼香や弔辞・弔電の奉読が行われます。その後、僧侶が退場して式は終了します。出棺は午前11時ごろに行われ、参列者は棺に花を添えて最後の別れをします。棺は霊柩車で火葬場へ運ばれ、火葬はおよそ1時間で行われます。火葬後は遺骨を骨壺に収める収骨があり、その後、精進落としや簡単な法要を行うこともあります。
葬儀後の手続きと初七日法要から香典返し・役所手続き
葬儀が終わったあとも、ご遺族にはさまざまな準備や手続きがあります。葬儀の喪失感や疲れの中で、何をいつ行うべきかを理解しておくことは、後のトラブルを防ぐためにも重要です。ここでは、初七日法要や精進落とし、香典返し、役所や保険会社への手続き、相続に関する流れを順に解説します。
初七日法要と精進落とし
葬儀後に行われる最初の法要が初七日法要です。故人が安心して旅立てるように、僧侶の読経に合わせて供養します。最近では葬儀と同日に行う「繰り上げ初七日法要」も増えています。法要の後には、参列者に感謝の気持ちを示す「精進落とし」が行われます。精進落としは、故人を弔ってくださった方々へのおもてなしであり、僧侶や参列者への感謝を伝える大切な時間です。
宗教者が参加できない場合は、御膳料をお渡しすることもあります。
散会の流れ
精進落としが終わると、参列者は散会となります。喪主は簡単な挨拶で感謝を伝え、参列者が安心して帰宅できるように見送ります。地域によっては、お清めの塩を配ることもあります。散会後は会葬者名簿の整理や香典・供物の控えの確認など、記録整理を行い、後日のトラブルを防ぎます。
香典返しの手配
香典返しは参列者へのお礼です。「即返し(葬儀当日)」と「後返し(忌明け後)」があります。即返しはすぐに感謝を伝えられる利点がありますが、金額に応じて品物を調整しにくい場合があります。後返しは金額に応じた品物を選べますが、準備や発送に手間がかかります。一般的には、いただいた香典の半額程度の品物を目安にします。
役所・保険会社への手続き
葬儀後は死亡届の提出や年金受給停止、生命保険の請求などの手続きが必要です。死亡届は7日以内、年金受給停止は厚生年金で10日以内、国民年金で14日以内に行います。生命保険の請求には保険証券番号や死亡日などの情報が必要です。銀行口座やクレジットカードの名義変更、公共料金の手続きも並行して進めるとスムーズです。
相続関連の手続き
故人に遺産がある場合は、相続関連の手続きも必要です。遺産の調査、相続人の確定、遺産分割協議、各種名義変更、相続税の申告が含まれます。相続税は亡くなった翌日から10か月以内に申告する必要があります。葬儀後は心身の負担が大きいため、事前に手続きの流れを把握しておくと安心です。必要に応じて弁護士や税理士に相談することで、手続きが円滑に進みます。